にほんごのれんしゅう

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【書評】「犬と魔法のファンタジー」が胃が痛くなるほど就活事情をよく表している件

表題の通りの通りの書評です。

 

 主人公は冒険部に所属する大学生。ただし時代背景は現自在ではなくて、剣と魔法が存在する世界のことである。そんな中、主人公はお祈りと呼ばれる企業面接の失敗を何度も何度も繰り返す。その中で40代のOBや、いわゆるオタサーの姫のような存在が出てきたり、学生起業家も出てきたりする。面白い掛け合いがあるとかではないが、主人公が数多の企業に落とされて全く就職出来ない様子は本当に胃が痛くなるような思いになるのだ。就活前線で厳しい。。。

 冒険という名の山登りに出かける主人公。何度も就職に失敗し、就職することではなく冒険部の冒険を通じて生きていくべきだという悟りのような境地に至る主人公で完結。

 最後のたたみ込みの場面で、主人公が選ぶ道が正解か不正解かは全く考慮されていない。何のための大量のディテールなのか。ディテールには、オタサーの姫とだんだん仲良くなっていくシーンなどがとても丁寧に描かれられており、好感が持てる。主人公はもがきあがきながらも就活という社会適合者になれるか、否かの点で非常に心配することは避けられないだろう。そんな感じの小説でした。