「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」を読んで
読んだ背景
新しい仕事の関係で、こういったマネージメント系の知識が必要になってきた
以下に、「理系の文書」というメモスタイルのまとめ方で、概要をざっくりまとめた
概要
- イタリアレストランが潰れそうになっている
ここで、潰れないように主人公が奮闘する話
主人公、26歳女、独身、転職組
主人公の勘違い
マーケティングは定量的なアプローチからせめて、「肌感」を見失ったこと
同業他社の動向を調査して差を取らなかったこと
なにかユーザの行動を決めるのは、定量的なパラメータであることのほうが少ない
「買う」という行為はマーケティングの良し悪しの投票してもらった結果である
「マーケティング」とは商品企画、工場での生産、広告作成、営業、市場操作など「客に関するすべてのこと」を調べることである
何か、商品を消費するという行為そのものが、マーケティングの影響を受けている
「なぜ買ったのか」「なぜ買わなかったのか」を明確化すれば、売り手のマーケティングがわかる
ロジックの部分
ベネフィット お客様にとっての価値
セグメンテーションとターゲティング お客様を価値でくくる
強み、差別化 競合との「価値」の差
対価を受け取る売り方、売り場、売値
「一貫性」と「具体性」
一貫性とは筋が通って理論的であること
具体性とは肌感覚であること
- TPOを考えよう
例えば、イタリアレストランだと売り物は食べ物以外に友達の付き合いの場、接待の場、おしゃれ感を醸した出している
→ベネフィットに該当する考えである
基本的なことだけど、客の立場になって考えるのは難しい
パスタの隣にパスタソースがなかったりしてね
TPOを利用した販売戦略で、簡単なテクニックとして、TPOに合わせた商品を提供する
例)朝、鏡の前で、髪の毛をセットしながら → 忙しい朝の手軽な軽食を取ることができる商品
ビフォー、アフターを提示することで、わかりやすくする
商品、サービスに前と今でこんなに改善したんですよという、例を表示する客目線に立つ
客がどうして自店を利用するか、なんて意外とわからないものなのかもしれません
アンケートを分析するが、定性的な分析が必要であり、分析をかけなければならない
例えば、有効な分析手法として、分析者が店にずっといることで分析の精度を上げるなどが考えられる認知不協和
特定の客層にターゲティングしすぎて汎化性能がなくなること
年齢、年代ターゲティングが難しくなったらTPOなどの別のレイヤーで切ることも有効である
ターゲティングが強すぎるとむしろ売れなくなる傾向がある
バランスよく汎化性能を確保しながら、ターゲティングすることもTPOでできる価値の軸を正しく引く
価値とはベネフィットのことをここでは意味する有効なアンケート
「なぜ他店じゃなくて、この店に来ていただけるんですか」などは、差別化のあぶり出しに非常に有効である
強みかどうかは競合との比較によってなされる
誤った例では、マクドナルドの強みは「早い、安い」になる
ちょっと一休みという価値はドトールやスターバックスのカフェと競合する
単純にハンバーガーを売っているから同じロッテリアやモスバーガーと競合する存在ではない
客の競合相手は、頭に浮かぶ選択肢の束なのである
吉野家より高いかもしれないが、「ゆっくりできる」ことが強みなのである
↑以上のことを考えて「誰と比べて」を明確にしないまま、強み弱みの分析を行うことは無意味なのである
企業の強み・差別化は以下の方法にざっくりと分けることができる
トレーシー&ウィアセーマの提唱した理論
- 手軽軸
競合より早い、安い、便利 - 商品軸
競合より高品質、新技術で差別化 - 密着軸
競合より顧客「個別」ニーズに対応した密着感で、差別化
-- 商品軸はエンジニア手動により行われる
-- 密着軸は顧客主導により行われる
どちらの軸を重要視するかで大きく社内の方針が別れる
良くないのは中途半端ということで、頭の中に浮かぶ選択肢の束から外れてしまうことである
例えば「○○ならあそこだよね」というような感じにならなければならない
商品軸で平均以上
密着軸で平均以上
以上をとっている必要がある
きちんとターゲティングをとって正しく行うべきものなのである
ターゲットの選び方
- ひとつは「儲かるか」
- もう一つは「勝てるか」
以上の二軸に還元される
競争に勝てるかという自社の強みを活かして、お客様に十分意味のある差別化をできるか
トリビア1
現場を担当している人と、管理者の間には衝突が生じやすい。攻撃的な言い合いになることも多い。
解決するには、衝突したまま戦いに挑み、勝つしかない。(負けた時の記述はない)
トリビア2
安易に視察に行きたくなるが、それは本質ではない。インターネットが普及した現代において、視察をするからにはネット上で手に入れられる→情報以上を手に入れなくてはならない
トリビア3
フランチャイズ化を最終的な目的地に設定するのは間違いではないが、「最初」にやるべきことは地域密着型で確実に足元を固める作業である
Product, Promotion, Place, Priceの4Pという考えから
Product 商品サービス、客への本質的な価値
Promotion 広告、販促。商品、サービスの価値を客に伝えること
Place 販売チャンネル
Price 価格。(消費者目線の価格ではなく、社にもたらされる価値のことである
TPOに似た考え方
マーケティングは、当たり前の結果の連続で行われることである
例)販促は行ったが、広告を忘れたなど
以上の行動の相乗効果により、結果は捻出される
また、評価軸(目的とする軸)を見失う可能性がある
例)値引き戦略を、商品価値を主力とするところで展開してしまうなど
客は目に見えるものに徹底的にこだわる可能性がある
メニューや店の照明、従業員の清潔感に至るまで完全に道中を把握することになる
戦略と戦術の一貫性
「重要なのが、戦略と戦術(考えてやることの一貫性)」である
悪例として、戦略は立てたものの戦術が正しく履行されるような場合ではなく、ズレが生じると一貫性が保たれなくなっているということ
一貫性が担保できなくなるのは、主に「戦略を立案する人」と「実行する人の意識のズレから生じる」
例)森永ミルクキャラメルを子供が食べるところにおいておいたことがあったが、老人向けのコーナーに移動したところ販売が4割近く伸びたことがある
法人顧客は価格に対して厳しい
顧客ターゲットは価格を重要視する団体が多い
そのためデルなどが、よく使われる
個人客は、真逆であり、MacBookなどの個に対して強い属性を発揮する
Appleなどの売り方は密着軸に該当するする
法人だと、レッツノートを作っているパナソニックさんなどが密着軸に該当する
パナソニックは高級路線をとっているが、低価格化は消してしない。これは、商品軸をメインにおいているのに、低価格勝負を挑むのは間違いなのである
トリビア4
MTGの途中に、部下、上司がアホなことを言ったと感じたら否定から入るのではなく、サポートの相槌を打ちましょう.
基本、上司は部下を守るものである.
トリビア5
同じ店に、もう一度行くか?という問いも強力なアンケート手法になる
社内会議で忘れがちになるもの
本質的な、客にとっての弊社の価値を忘れてしまう傾向にある
重要なこと
最終目標はチェーン化であるが急いではならない
足場を固めることを優先せよ
トリビア6
マーケティングには適当な言葉を合わせると良い。
今回はイタリア料理の店なので、「ソーレ」というイタリア語が日本語の掛け声に似ている点が重要視されている
繰り返し本書で何度も述べられていること
上司、客、同僚の想いを汲み取り、思い遣ること
ここで言う思いやりは抽象度が高く、具体性にかけるが心がけ的なものであると考えられる
私個人の感想
今まで、電子取引を主力にマーケティングしてきたこともあり、定量的な角度で、売れる要素のあぶり出しが主な仕事でした。
いかにも理系チックなマーケティングだと思いますが、それそはそれで価値がありました。
今回、この本「新人OL、潰れかけの会社をまかされる」は、定性的な分析の積み重ね(つまり、ハドゥープなどのビッグデータとは対極の分析手法)により、売れる要素をあぶり出し、マーケティングとして成功させるという話でした。本書は、フィクションですが、参考になる考え方、見方、マーケティングがいくつもあり、非常に有益でした。
理系の脳の方には一読をおすすめします.